LGBTQ+ Wiki
Advertisement


ノンバイナリー (nonbinary) は、女性/男性の性別二元論で表せない人、つまり、男性または女性の一方のみではないあらゆるジェンダーまたはそのようなジェンダー・アイデンティティである人を指すアンブレラ・タームです。ノンバイナリーの人々は、「自身の性別とは異なる性別を出生時に割り当てられた人、また、そのような性別の様式をあらわすアンブレラ・ターム[1]としてのトランスジェンダーの一部です[2][3]。しかし、自らを「トランスジェンダー」という概念のもとで理解していない、またはそのラベルを拒絶する当事者もいます。ノンバイナリーの人々はあらゆる性的指向を持ちえます。アンドロセクシュアルガイノセクシュアルなどの用語を使用して性的指向を表現することもあります。2013年から2014年にかけて行われた調査では、調査対象となったトランスジェンダー若者の839人のうちノンバイナリーは41%でした。[4]

ジェンダークィアというラベルは、ノンバイナリーと多くの重なる部分があります。

コミュニティ[]

記念日[]

国際ノンバイナリーの日は毎年7月14日です。2012年に始まりました。この日付は、国際女性の日(3月8日)と国際男性の日(9月18日)の中間であることから、バイナリーの外であることを表すため、選ばれました。[5]また、9月18日を含む一週間は「ノンバイナリー啓発週間」とも知られ、ノンバイナリーの方々が自分自身とコミュニティを祝福し、同時によきアライであるための情報を非当事者に広める事を目的としています。[6]

また、2月11日もノンバイナリーを祝福する日として、🐾peekaboo_929@twitterによって2022年7月14日に提唱されました。これは、「国際ノンバイナリーの日」が性別二元論に基づくことに対する批判から始まっており[7]、2も11も素数であることに加えて、211はスーパー素数(素数の数列における素数番目の素数)であることに由来します。[8][9]

代名詞[]

ノンバイナリーの人々は、様々な代名詞でありえます。どのような性別の誰でも任意の代名詞を使用できるように、ノンバイナリーの方々も、使用したい任意の代名詞を使用できます (tic/tics などのグループ固有の代名詞セットを除く)。多くのノンバイナリーの人々は、they/them 代名詞を使用しますが、代名詞は常に性別に対応するとは限らないため、どれを使用することもあります。たとえば、AFABのノンバイナリーの人は、慣れているためにshe/herの代名詞を使用する場合があります。一方で、代名詞のすべてまたは一部を使用し、好みがない人もいます。特定の代名詞のセットを好む人もいますが、どの代名詞でも問題ありません。it/itsの代名詞をリクレイムする人もいれば、xe/xem、zey/zem、per/pers、ne/nim などの新代名詞を使用する人もいます。

マイクロラベル[]

ノンバイナリーの性別を持つ人は、次のような性別の人々を含むことがあります(ただし、これらのアイデンティティを持つ人々が必ずしも自分をノンバイナリーであると認識しているとは限りません):

  • ノンバイナリー男性ノンバイナリー女性といった、完全に「女性」や「男性」ではないが、接近性を覚えているジェンダーのあり方。[10][11][12][13][14]2021年のGender Censusでは、0.18%の回答者がノンバイナリー女性であると、0.19%がノンバイナリー男性であると答えた。[15]
  • アンドロジナスなど(マスキュリンフェミニンの両方)のジェンダー・アイデンティティを持っている人。
  • インタージェンダーなど、男性と女性の間のアイデンティティを持っている人。
  • Aジェンダー中性、またはほとんどのゼノジェンダーなど、中立的または認識されていないジェンダー・アイデンティティの人。または、ジェンダー・アイデンティティ自体がない人。
  • バイジェンダーパンジェンダーなど、複数のジェンダー・アイデンティティを持っている人。
  • ジェンダーフリュイドジェンダーフラックスとして知られるような、時間とともに変化する性自認を持っている人。
  • デミジェンダーとして知られるような、ジェンダー・アイデンティティとのつながりが弱い、または部分的である人。
  • アマルガジェンダーとして知られるような、インターセックスや、インターセックスであると認識している人。
  • バイナリーな用語を使用せずに性別を説明するために作成された、ギャラクティアン・アラインメントのアイデンティティを持っている人。
  • 自分または先祖の文化内にのみ存在する、文化的に固有のジェンダー・アイデンティティを持っている人。
  • ProxvirJuxeraMaveriqueなどの特定の文化内にのみ存在するわけではないサードジェンダーとして識別する人。

略表記[]

ノンバイナリーを「NB」と表記することが以前は一般的でしたが、これは現在は避けることが望ましいとされています。現在はEnby(エンビー)のほか、NBiなどの表記が使用されています[16]

「NB」という言葉を「non-binary/ノンバイナリー」の略称として使うことは、不適切である場合があります。特に英語圏においては、「PoC」(People of Color)という言葉によって黒人(Black)に特有の差別の状況が不可視化されないようにするため、非黒人のPoCを「NBPoC」(Non-Black People of Color)と表現することがあります。このように「NB」という言葉でNon-Blackを意味することがあるようです。そのため、「NB」を「non-binary/ノンバイナリー」の略称として使用することは、黒人差別の状況を適切に言語化するために使われる「NB」という表現を言語的に強奪することに繋がりかねません[17]

誤解と差別[]

ノンバイナリーとトランジション[]

全てのノンバイナリーがトランジションを希望するわけではありませんが、一部の人はジェンダー表現が内面のアイデンティティをより厳密に反映するようにトランジションをしたいと考えることもあります。2013年から2014年にかけて行われた調査では、ノンバイナリーの個人の内、13%はホルモン充填療法を受けていました。これはバイナリーなトランス当事者(52%)よりも少ない数字でした。しかし、同時に、より多くのノンバイナリー当事者が、医療へのアクセスの困難を訴えました。[4]

ノンバイナリー抹消[]

ジェンダーに関する文脈において「抹消(erasure; イレイジャー)」とは、性別二元論外の人々をいないことにしたり、無視したり、敵視したりすることです[18]性別二元論を強く信じる人にとって、ノンバイナリーらしさは「わけがわからない」ものであったり、「存在しない」ものであるとされたりします[19]。また、ノンバイナリーの人にとって、これは具体的には、公文書や身分証明書において、「女性/男性」のいずれかでの記載を迫られたり、she/heなどのジェンダー化された表現で言及されてしまうこととしても経験されます。ノンバイナリーな表現の受容を求めるノンバイナリーな人にとっては、このような抹消は繰り返し承認を求めさせるものであります。[20] 抹消の繰り返しは、ノンバイナリー非当事者にとっては気づきにくいものであるかもしれませんが、当事者にとっては買い物から医療機関の受診に至るまで、マイクロアグレッションとしてはたらき、抑うつや不安症など、さまざまな苦痛の原因となります[4]。 また、その結果、適切な医療にかかることを困難にさせてしまうこともあります。[4]

ミスジェンダリング[]

2016年に行われた調査によると、ジェンダー・クィアの人々に対する最も典型的な差別は、不適切な代名詞の使用です[21]。2018年の調査によれば、ミスジェンダリングと不安障害や鬱、ストレスなどの間には高い相関がありました[22] 。さらに、見知らぬ人からの繰り返されるミスジェンダリング(chronic misgendering)はストレスを強め、外に出るのを困難にさせてしまうこともあります[23]

ジェンダー化された空間[]

Seelman (2014)によれば、調査されたトランスの学生の23.9%がトランスジェンダーまたはジェンダー・ノンコンフォーミングであることを理由に適切なトイレや寮にアクセスできていません[24]

また、2019年に行われた調査では、恐怖をもって迫られたり、謝罪を求められたり、ひどい場合には、個室の中へ押しかけてこようとしてきた例が、インタビューを通して明らかになっています。[25]このような状況は自殺企図や未遂の可能性を大幅に上昇させます。調査では、適切なトイレへのアクセスを禁じられた人のうち60%が自殺を企図していることが明らかになりました。[26]

メンタルヘルスとノンバイナリー[]

ノンバイナリーを含むトランスの当事者の自殺率の高さは、「トランスであることは子供にとって有害である」という誤った解釈を生み出す結果にもなっています。[27]

著名なノンバイナリーの人々[]

こちらもご覧ください[]

外部リンク[]

参考文献[]

  1. フェイ, ショーン. (2022). トランスジェンダー問題 (髙井, ゆと里訳). 明石書房. ISBN: 9784750353272.
  2. unknown. (n.d.) Retrieved from https://www.hrc.org/resources/transgender-and-non-binary-faq
  3. ヤング, エリス. (2014). ノンバイナリーがわかる本 (上田, 勢子訳). 明石書房. ISBN: 9784750353272.
  4. 4.0 4.1 4.2 4.3 Clark, B. A., Veale, J. F., Townsend, M., Frohard-Dourlent, H., & Saewyc, E.. (2018). Non-binary youth: Access to gender-affirming primary health care., International Journal of Transgenderism, 19(2), pp.158-169. DOI:https://doi.org/10.1080/15532739.2017.1394954.
  5. Jake (2020-02-25). When is International Non-Binary Day in 2020? , The Gay UK . Retrieved from https://www.thegayuk.com/when-is-international-non-binary-day-in-2020/
  6. Non-Binary Week 2020. (2020-07-13) , Activist Bookshelf . Retrieved from https://activistbookshelf.com/non-binary-week/
  7. https://twitter.com/peekaboo_929/status/1547593598858055681
  8. https://twitter.com/peekaboo_929/status/1547571952881377280
  9. https://twitter.com/peekaboo_929/status/1547567633100599296
  10. Gender Identity And How Understanding It Can Ease Loneliness. (n.d.) The Roots of Loneliness Project. Retrieved from https://www.rootsofloneliness.com/gender-identity-loneliness
  11. Glossary of Terms | LGBTQ+ Resource Center. (n.d.) University of Wisconsin-Milwaukee. Retrieved from https://uwm.edu/lgbtrc/support/glossary-of-terms/
  12. LGBTI-SafeZone Terminology. (n.d.) National Institute of Health, Office of Equity, Diversity, and Inclusion. Retrieved from https://www.edi.nih.gov/people/sep/lgbti/safezone/terminology
  13. Nonbinary Girl (2). (2017-01-17) . Retrieved from https://www.deviantart.com/pride-flags/art/Nonbinary-Girl-2-657962485
  14. Nonbinary Boy (2). (2017-01-17) . Retrieved from https://www.deviantart.com/pride-flags/art/Nonbinary-Boy-2-657962488
  15. Gender Census 2021: Worldwide Report. (n.d.) Gender Census. Retrieved from https://gendercensus.com/results/2021-worldwide/
  16. NB/NBi/Enby. (n.d.) The Trans Language Primer. Retrieved from https://translanguageprimer.com/nbi/
  17. unknown. (n.d.) Retrieved from https://twitter.com/nonbinary_0714/status/1555411914012119041
  18. The Trans Language Primer (n.d.). Non-Binary Erasure , The Trans Language Primer Retrieved from https://translanguageprimer.com/non-binary-erasure
  19. Hale, J.C. (1998) "...[O]ur embodiments and our subjectivities are abjected from social ontology: we cannot fit ourselves into extant categories without denying, eliding, erasing, or otherwise abjecting personally significant aspects of ourselves ... When we choose to live with and in our dislocatedness, fractured from social ontology, we choose to forgo intelligibility: lost in language and in social life, we become virtually unintelligible, even to ourselves..." from Consuming the Living, Dis(Re)Membering the Dead in the Butch/FtM Borderlands in the Gay and Lesbian Quarterly 4:311, 336 (1998). Retrieved on April 7, 2007.
  20. Hildreth, Cade (2021-06-16). Nonbinary Gender: On Being Beyond, Both, and In-Between , Cade Hildreth . Retrieved from https://cadehildreth.com/nonbinary/
  21. Microaggressions Toward Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender, Queer, and Genderqueer People: A Review of the Literature, 53(4–5), pp.488–508. (2016-03-11). ISSN: 0022-4499. DOI:10.1080/00224499.2016.1142495. [en].
  22. A minority stress perspective on transgender individuals' experiences with misgendering., 3(1), pp.53–64. (February 2018). ISSN: 2376-6964. DOI:10.1037/sah0000070. Retrieved from http://doi.apa.org/getdoi.cfm?doi=10.1037/sah0000070 [en].
  23. Everyday Violence: The Public Harassment of Women and LGBTQ People.. (n.d.) Rutgers University Press.. ISBN: 9781978823990.
  24. Transgender Individuals' Access to College Housing and Bathrooms: Findings from the National Transgender Discrimination Survey, 26(2), pp.186–206. (2014-04-03). ISSN: 1053-8720. DOI:10.1080/10538720.2014.891091. Retrieved from https://doi.org/10.1080/10538720.2014.891091
  25. Un/gendering Social Selves: How Nonbinary People Navigate and Experience a Binarily Gendered World, 34(3), pp.572–593. (September 2019). ISSN: 0884-8971. DOI:10.1111/socf.12517. Retrieved from https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/socf.12517 [en].
  26. Impact of Bathroom Discrimination on Mental Health Among Transgender and Nonbinary Youth, 68(6), pp.1142–1147. (2021-06-01). ISSN: 1054-139X. DOI:10.1016/j.jadohealth.2020.11.001. Retrieved from https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1054139X20306534 [en].
  27. Schools Often Fail to Expect Trans and Nonbinary Elementary Children: What Gender Independent, Nonbinary, and Trans Children Desire, 124(8), pp.244–274. (August 2022). ISSN: 0161-4681. DOI:10.1177/01614681221126243. Retrieved from http://journals.sagepub.com/doi/10.1177/01614681221126243 [en].
Advertisement