女性は、西洋的性別二元論における性別の一つです。通常、フェミニニティと結び付けられます。シス女性のほか、トランス女性、ジェンダークィアな女性、ノンバイナリーな女性などが含まれます。
出生時に女性を割り当てられた人(AFAB)は、ジェンダー・アイデンティティが女性であるという規範がありますが、すべての女性はAFABであるわけではなく、また、すべてのAFABが女性であるというわけではありません。また、すべての女性がフェミニンなジェンダー表現をするわけでもありません。
「女性の定義」[]
定義することの問題[]
女性を定義するのはいくつかの困難があります。例えば、Haslanger[1]によれば「共通性の問題」、すなわち「[女性たちに]「ジェンダー」と見なされうるような共通の社会的特徴があるのか」(邦訳p.15)という問題、そして、「規範性の問題」、すなわち「「女性とは何か」をどのように定義しようとも、それが特定の価値付けを帯びてしま[い、]一部の女たちを周縁化して他の女たちを特権化し、現在のジェンダー規範を強化する危険」(邦訳p.15)があります。Haslangerはこれらを意識しつつ、「性に関する正義を求める際の道具として役立つような」ジェンダーの定義を模索します。
また、「定義する」という行為にも、難しさが伴います。
「 §66 “例えば、我々が「ゲーム(Spiel)」と呼ぶ事象について、一度考えてみてほしい。盤上のゲーム、カードゲーム、ボールを使うゲーム、格闘的なゲーム、等のことを言っているのだ。これらすべてに共通するものはなにか?” — 「なにか共通なものがあるに違いない。さもなければ「ゲーム」とは呼ばれない」と言ってはいけない — そうではなく、それらに共通なものがあるかどうかを見たまえ。 — なぜなら、それらをよく眺めるなら、君が見るのはすべてに共通するようななにかではなく、類似性、類縁性、しかもいくつもの種類の類似性だからだ。繰り返すが、考えるのではなく見るのだ!」(ウィトゲンシュタイン[2] , p.75)
定義/説明の例[]
本稿では、上記の問題を意識した上で、2通りの「定義」/「説明」を紹介します。
「Sは女性ジェンダー・アイデンティティを備える iffdef Sの内的な『地図』が、階級としての女性に属する人向けに、この文脈において階級としての女性に特有の社会的・物質的現実を切り抜ける際の指針となる形で形成されたものである」(Jenkins, 2016[3])
「
i) ある時点tのある社会sについて、ある集団Gs, t(α)は、社会的意味を持つ集団である。ただし、社会的意味を持つとは、その集団に属していると認識されることが、その時点のその社会において、一般に何らかの規範や権利、地位と結びつくということである。
ii) (i)は、次のことを示唆する:Gs, t(α)以外にも、Gs, t(β)やGs, t(γ) …など、複数のその他の集団が持続的に存在し、かつこれらはなんらかの体系の中で相似性と差異があると受容されている。このとき、その体系をιと名づける。
iii) 次のとき、主体SはGs, t(α)に属していると言う: Sはs, t(α)に属するとされるその他の人の全体が持つとされる規範、行動、役割、認識などの特徴に、その一部または大部分を拒絶していたとしても、近似性があるという自己像を持続的かつ繰り返し了承ないしは志向している。
iv) 主体SがGs,t(α)に属してるとき、「Sのιに関するアイデンティティはGs, t(α)である」と表現する。
v) われわれの今の社会において、ιの一つに「性別」と呼ばれるものがある。
vi) 主体Sが体系「性別」を構成する集団の一つであるGs, t(「女性」)に属するとき、『Sのジェンダー・アイデンティティは女性である』と表現する。」(anarchist_neko, 2022[4])
もっと詳しく[]
- https://plato.stanford.edu/archives/spr2016/entries/feminism-gender/#WomGro
- Haslanger, Sally. (2000). Gender and Race: (What) Are They? (What) Do We Want Them to Be?, Nous, 34(1), pp.31-55.
- Jenkins, Katharine. (2016). Amelioration and Inclusion: Gender Identity and the Concept of Woman, Ethics, 126(2), pp.394–421. DOI:10.1086/683535.
参考文献[]
- ↑ Haslanger, Sally. (2000). Gender and Race: (What) Are They? (What) Do We Want Them to Be?, Nous, 34(1), pp.31-55.
- ↑ ウィトゲンシュタイン[鬼界彰夫訳]. 2020.『哲学探究』. 講談社.
- ↑ Jenkins, Katharine. (2016). Amelioration and Inclusion: Gender Identity and the Concept of Woman, Ethics, 126(2), pp.394–421. DOI:10.1086/683535.
- ↑ anarchist_neko. (2022, Sep 19). 「女性」の「定義」. Retrieved from https://anarchistneko.wordpress.com/2022/09/19/woman_definition/